「置き配」をオートロック付きマンションで実現し、配送業務の効率化に貢献

株式会社ライナフ(以下、ライナフ)は、「もっと、居心地の良い場所へ。」というビジョンを掲げ、不動産とITを掛け合わせて、不動産の価値を向上させるようなサービスを創出しています。

ライナフが提供しているサービスの一つが、お届けの荷物があるドライバーだけがオートロック付きのエントランスを解錠して置き配を可能にする「スマート置き配」で、2021年8月から本格的に開始しました。

近年、インターネットで買い物をする人が増えたことに伴って、宅配の荷物量も爆発的に増加し、物流業者を逼迫しています。その現状を改善するために注目を集めているのが「置き配」でした。

置き配は、物流業者が荷物を玄関先に置いて立ち去る配送方法で、荷物を受け取る人が指定した場合にのみ適用されます。荷物を受け取る側にとっては、配送時に留守であっても、その際に宅配ボックスが埋まっていても荷物を受け取れることが特長で、すぐに使いたいものや、宅配ボックスに入らないような大きな荷物、宅配ボックスから運ぶのが大変な水などの重い荷物を受け取るときにも便利です。

一方で、物流業者にとっては、荷物を持ち帰らずに済むため、再配達の手間が削減できます。再配達になる荷物の個数は全体の2割ともいわれており、再配達がなくなるだけで配達業務が大きく効率化し、配送コストの削減にもつながります。ところが、オートロック付きマンションは、配達先のお宅が留守であれば物流業者がエントランスより中に入ることができず、置き配ができないという課題がありました。

その課題を解決するために考えられたのが、「スマート置き配」です。従来から提供していたエントランス用スマートロックデバイス「NinjaEntrance」を応用し、置き配の指定があった荷物を持っている配送員の人だけがスマートフォンでエントランスのロックを解除できるようにすることで、オートロック付きマンションであっても荷物を玄関先まで運べるようにしました。

通信の懸念点を払拭した従来サービスを応用

「スマート置き配」には、「NinjaEntrance」が活用されていますが、新サービスリリースに向けて新たに開発したのは、サービスのユーザーに当たる物流業者に提供する部分でした。部外者が勝手にエントランスを解錠できないよう、解錠操作を行った人がどのような立場なのかをきちんと特定できるようにつくり込みました。

そもそも「NinjaEntrance」は、オートエントランスにつなぎ、遠隔からの解錠の指示をインターネット経由で受信することによって、自動ドアに解錠信号を出す仕組みです。このデバイスをインターネットにつなぐための通信機能にはデータ通信サービス SORACOM Airを利用しています。このデバイスの開発では、遠隔で解錠指示を出してから実際に解錠するまでの時間を1秒以下にすることを目指してつくり込みを行いました。

また、通信を安定させることや、デバイスがきちんと動作しているかどうかを常に確認できるようにすることも、外せないポイントでした。この条件は、接続履歴の参照も可能なSORACOM Airを利用することで満たすことができました。

そのほか、SORACOM Airは通信の休止と再開が容易にできることや、IoT SIMを使用しているデバイスに対して認証サービスを提供する SORACOM Endorseの併用でセキュリティを強固にできることなども、SORACOMを採用している理由です。

ライナフとソラコムの取引は、2015年のソラコム創業初期から始まっています。代表取締役の滝沢潔氏は、当初、IoT用のSIMはSORACOM以外の選択肢がほとんどなかったという背景で使い始めたとしながら、今でもSORACOMを採用し続けている理由を次のように語ります。「ソラコムは、こちらの要望や時代の流れを汲み取って、常にサービスを進化させているので、これからもそうしてもらえるだろうという期待値があります」

デバイスを設置するマンション数は、月に500棟ペースで急増中

「スマート置き配」は、オートロック付きのマンションに無料で設置できることが特長です。その際、ヤマト運輸株式会社をはじめ、数多くの宅配会社や食品配達系の会社などが導入しているライナフのデバイスに加えて、Amazonが提供する専用デバイスも併せて設置されるため、さまざまな業者で注文した品物についても置き配が利用できるようになります。

置き配の仕組みはマンション住民、物流業者の双方にメリットがあり、導入マンションの数も急速に増加しています。以前は都内で200棟程度でしたが、現在では札幌から福岡まで、主要な都市圏を中心に月に500棟程度のペースで設置が進んでいます。世帯数にして、月に1万5000世帯が新たに置き配を利用できるようになっています。

CO2量の削減など様々な好影響に期待。今後は幅広い事業者との連携も

リリースから半年の時点で、再配達になる荷物の数がすでに大きく減少しています。物流業者の労働生産性の向上や、物流コストの削減、配達によって排出されるCO2量の削減も見込めるため、ゆくゆくはあらゆる物の価格や環境にまで好影響を及ぼすと考えられます。

今後は、さらにデバイスの設置先を増やしていくことに加え、「スマート置き配」をベースにした新たなサービスの展開も考えています。

たとえば、玄関先に置かれた荷物を集荷する「置き集荷」です。荷物を送る場合は、玄関先で集荷に来た配送業者に荷物を手渡すか、配送窓口まで持ち込むといったかたちで、荷物を受け取るときほど柔軟ではありませんでした。そこで、玄関先に荷物を置いておくだけで配送してもらえる「置き集荷」を可能にし、より手間をかけずに荷物を送れるようにしたいと考えています。これは、荷物の受け取りや発送が月に数回発生するサブスクリプションサービスとの提携も視野に入っています。

また、できたての食品をドアノブに掛けて届けるといったサービスや、古くからある牛乳配達サービスもオートロック付き物件で利用できるようにするなど、様々な事業者と連携することで、サービスの展開可能性を探っています。

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