IoT 導入の背景

フィットネスクラブの運営を、IT技術活用で刷新

東急スポーツオアシスは、東急不動産を親会社とするフィットネスクラブです。事業内容は、フィットネスクラブ運営、スイミングスクール、シニア向けに介護予防を手がけています。業界的にもテクノロジーを現場の業務で活用することがなく、IT技術を活用することで新たな価値を提供できる可能性を秘めていました。

BeesConnect事業部は、この可能性にアプローチすべく2018年4月に新設されました。各店舗に対して、新規入会数や会員数、売上に直結する情報を瞬時に確認できるダッシュボードの提供だけでなく、各種アンケートや申込書・届出書の電子化など、会員制ビジネスに特化したBtoC向けのデータ可視化システムを提供しています。社内での活用はもちろん、同じような会員制ビジネスを展開する企業にも導入を促進して、フィットネスクラブ業界全体でIT技術活用を進めていこうというプロジェクトです。

IoT 導入の課題

IT技術活用で日々の65%の業務は効率化できる

フィットネスクラブではIT技術を効果的に活用しているユースケースがまだ少なく、テクノロジーの使い方はもちろん、どのような課題を解決できるかわからない状況でした。東急スポーツオアシスではこの状況を打破するため、ダッシュボード作成とデータ活用をサポートしていたウイングアーク1st株式会社と、2017年6月にハッカソン「TOKYU HACK」を開催しました。

ハッカソンを通じて、フィットネスクラブ運営における日々の課題と解決策を洗い出した結果、日々の業務のうち、実に65%がIT技術活用により効率化できることがわかりました。手始めとして、施設内での利用量に応じたタオル発注プロセスの自動化にむけた施設内でのタオル利用量の見える化に取り組みました。

SORACOM が選ばれた理由

タオルの利用状況を可視化し在庫の残量や回収のタイミングを把握

データの見える化を推進してきたBeesConnect事業部にとって、モノのデータを取得するIoTへの取り組みは初の試みでした。IoTのプロトタイピングやPoCで数多くの実績を持つ株式会社MAGLABをパートナーに迎え、タオル在庫の残量把握システムの構築に取り組みました。タオル納品時に業者が納品数を登録し、その後はタオル置き場に設置した超音波距離センサーで上からタオルの在庫残量を高さで把握します。同時にタオル総量の重さを計り、タオル在庫の残量を数値化します。これらのデータはネットワーク敷設不要のセルラー通信・SORACOM Airの3G/LTE通信を経由し、SORACOM Funnelの連携機能でスムーズにウイングアーク1stの提供する「MotionBoard」にデータを送ります。店舗スタッフはタオル在庫状況をリアルタイムにダッシュボードで確認することができます。

テスト店舗に設置に行った際、現場からは「タオル回収箱が満杯になるタイミングも知りたい」というリクエストをもらいました。レーザー距離センサーを回収箱のフタ部分に取り付け、コストバランスも良く、高い精度で回収箱の満杯状況を把握を実現しました。店舗スタッフのスマートフォンに回収のタイミングを通知することで、不必要な更衣室の見回り作業を効率化することができています。

IoTシステムは、現場に実際に設置してはじめて得られる知見が多くあります。回収箱のサイズの違い、ハンドタオルやバスタオルの厚みやサイズの違い、超音波、赤外線、レーザーを用いた3種の距離センサーよる計測数値の違い、センサー装置の強度など、次々に現場で出てくる課題をMAGLABとともに乗り越えて、IoTシステムは完成しました。これらのシステムは3月に考案し、同年4月にスタート、たった1ヶ月半という短期間で実現できています。

現在では店舗スタッフからのさらなる要望を踏まえて、施設の環境情報として温湿度の計測や、スイミングプールの塩素濃度計測といった分野にもIoTの取り組みを拡げました。取得した複数のデータを重ねて分析することで、今まで見えていなかった設備の現状や課題が見えてきています。

システム構成図

今後の展開について

IoTで、新しいフィットネスクラブ体験を目指す

今実施しているタオル残量の見える化システムは、いずれリネン業者に毎日自動発注できるような仕組みに進化させていきたいと考えています。

また、その他の取り組みとしてはフィットネスクラブの施設は新しいものばかりではありませんが、空調コントロールにも挑戦しています。今までは混雑状況や時間帯によって、温度を変更することはできませんでしたが、IoTの導入によりデータを元に自動制御することを目指しています。

今後どうIoT活用していくかという問いには、まだ回答はありません。私達の強みは、施設があってテストする環境と組織があることです。もっと多くのアイディアを集めてクイックに実証し、効果的な活用方法を創出していきます。将来的には、お客様のフィットネスクラブ体験も変わっていくかもしれません。お客様がトレーニングマシンをどのような順番で使っているか、古いトレーニングマシーンから運動履歴データを取得したら何が実現できるか、日々色々なアイディアを探しています。

東急スポーツオアシスは、引き続きフィットネスクラブ業界におけるIoTを始めとしたデータ活用のフロンティアとして、業界に新たな利用方法を提案していきます。

株式会社東急スポーツオアシス

株式会社東急スポーツオアシス

株式会社東急スポーツオアシス
BeesConnect事業部 ゼネラルマージャ 武重 慶士氏
株式会社 MAGLAB
Founder/ Magnetic Producer 武市 真拓氏

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