株式会社ソラコムがお送りする「IoT速報 - ビジネスの最前線」。今回は、大成建設株式会社がSORACOMを活用し、建設現場に数百台規模のカメラを設置。遠隔からの進捗管理・安全確認を可能にし、現場管理の効率化と省人化など施工管理DXを加速している事例をご紹介します。

【この記事でわかること】

  • 建設現場特有の課題に対し、数百台のIoTカメラも連携可能な遠隔監視システム「BuildEYE」を開発
  • 毎朝の全フロア巡視をデジタル化し、デスクから複数現場の状況を一覧可能に
  • カメラシステムやロボットの活用を進め、次世代の施工管理DXを推進

【SORACOM活用のポイント】

  • ソラコムクラウドカメラサービス「ソラカメ」を活用し、リーズナブルな導入・運用コストで数百台のカメラを活用するシステムを実現
  • ソラカメ屋外スターターキットで、Wi-Fi未整備エリアでも通信工事なしで即座に設置可能
  • ソラカメのAPIを活用して自社のDX基盤と連携、数百台のカメラをプロジェクト別・エリア別に一括運用

導入の背景

毎日変わる現場を巡視する負担を軽減するためのカメラ活用

大成建設株式会社は、国内外で建築・土木など多様なプロジェクトを手がける大手総合建設会社(ゼネコン)です。超高層ビルや病院、ホテルなど、規模も用途も異なる現場を同時並行で推進するなかで、施工管理の高度化と生産性向上に向けたDXを継続的に進めています。

建設業は一品ごとの「単品受注生産」であり、現場の状況は毎日刻々と変化します。働く職人も日々入れ替わるため、現場責任者は法令で定められた毎日の巡視を行い、進捗、品質、安全、工程を自らの目視で管理し続ける必要があります。この巡視は安全管理の要である一方で、大きな負担となっていました。

「なにもなかった空間に柱や壁などの土台が立ち上がり、天井が組まれ、建具が取り付く。工程が進むのにあわせて現場の姿は大きく変わっていきます」と、大成建設 生産技術イノベーション部 部長の松﨑重一氏は語ります。

大規模な商業施設や超高層ビルでは、現場責任者がすべての階を足で回り、進捗や作業状況、安全面を日々確認する必要がありました。エレベーターもまだ動いていない建設中のビルでは、階段を使って最上階から地下まで巡視するだけで数時間を要することも珍しくありません。

大成建設では以前から現場に数台程度のネットワークカメラを導入していましたが、詳細な状況把握には不十分でした。松﨑氏が目指したのは「現場に500台のカメラ」という構想です。各フロアの複数箇所にカメラを設置し、遠隔から映像で工程や状況を確認できれば、現場管理は劇的に効率化します。

しかし、従来のネットワークカメラでは、初期費用が1台あたり10万円以上、敷設工事に加え、撮影した映像をリアルタイムで閲覧する為の仕組みを開発するとなると費用も高額になります。500台規模で導入すれば、初期投資だけで数千万円、ランニングコストも莫大な金額になります。建設現場は工期が決まっており、プロジェクトごとにカメラを移設・再利用する必要があるため、この経済性では到底実現できませんでした。

導入の結果

数百台のカメラで建設現場を丸ごと見える化する「BuildEYE」

こうした課題への解として大成建設がソラコムと共同開発したのが、建設現場の施工管理DXを推進するカメラソリューション「BuildEYE(ビルドアイ)」です。

建設現場の施工管理DXを推進するカメラソリューション「BuildEYE」の画面
「BuildEYE」の画面では、複数の建設現場のカメラ画像を一覧で見ることができる

BuildEYEは、現場内に数十台から数百台規模で設置したカメラの映像をクラウドに集約し、遠隔から工程や安全・品質などの確認を可能にする仕組みです。以前は毎朝、現場責任者が最上階から順に全フロアを巡視していましたが、導入後は事務所のデスクから全フロアの状況を一覧できるようになりました。

「進捗を現場に行かなくてもパソコンで一望できる。これが最も大きなメリットですね」と松﨑氏は語ります。移動時間がゼロになることで、朝の巡視にかかる時間は劇的に短縮されました。進捗のずれを早期に把握できれば、翌日の工程調整や資材調達の変更を迅速に行えます。結果として、工期遅延のリスクを低減し、プロジェクト全体の生産性向上につながります。

ソラカメ採用の決め手は、従来では越えられなかったコストの壁を、ソラカメが現実解に変えたことでした。ソラカメはカメラ本体も1台3,980円からとリーズナブルで小型軽量のため、カメラの設置、取り付け直しも容易です。加えて、クラウド録画は月額990円からという価格設定で、500台導入しても月額50万円程度で、導入ハードルが格段に下がりました。

「リーズナブルなソラカメと、現場で必須インフラとして整備を進めていたWi-Fi環境を組み合わせることで、現場に500台のカメラを取り付けるという構想が夢ではなく実現可能になりました」(松崎氏)

BuildEYEでは、ソラカメが提供するAPIを活用することで、大成建設が独自に開発したWi-Fi環境とAI/IoTを一体化したDX標準基盤「T-BasisX」との連携を短期間で実現しています。自社システムの中で、複数の大規模現場で数百台のカメラを運用する際も、プロジェクトや役割に応じて対象カメラを瞬時に切り替え、遠隔制御や検索などを一括で行えるコンソールを独自に整備しています。

普及させるにあたって2つの課題がありました。ひとつは、建設現場では、工程の進行に伴って「いま見たい場所」が刻々と変わるため、カメラの設置位置をフェーズごとに"付け替え"できること、もうひとつは現場の作業員が簡単にカメラを取り付けられることです。

建設現場にカメラを臨機応変に設置するための専用アタッチメント
専用アタッチメントを開発し、カメラを建設現場に臨機応変に設置できるようにしている

この課題に対し、大成建設では、建設現場向けに開発された専用のアタッチメント(特殊治具)を開発。壁や単管パイプ、天井、カラーコーンなど建設現場にある建材に取り付け、付け替えしやすくすることで、現場での利用が広がりました。

BuildEYEの開発に携わった同部 先端ICT推進室 課長の樫本高章氏は、「BuildEYEの開発に当たっては、現場に赴き、実際に使ってもらったフィードバックから機能改善を繰り返してきました。現場の作業を担当される方にとっては、カメラをつけるという工程が増えることになります。取り付けるといった手間を極力なくしたことで、カメラ活用が現場にも次第に浸透しました」と説明します。

また、Wi-Fiが届きにくい場所には、セルラー通信搭載の「ソラカメ屋外スターターキット」を利用することで、カメラを活用できる範囲がさらに拡がりました。

建設現場でのカメラ設置の様子
ソラカメ屋外スターターキットなら、Wi-Fiの届かない場所でもクラウド型カメラが利用可能

今後の展開

ロボットと協働する建設現場の未来へ

大成建設の生産技術イノベーション部では、カメラシステムのほかにも、すでにロボット搬送機や清掃ロボット、四足歩行ロボットなどロボットを活用した施工現場のDXにも取り組んでいます。

大成建設の清掃ロボット「ARAMECLEAN」「KOMAMECLEAN」, 「KIRAMECLEAN」
清掃ロボット「ARAMECLEAN」「KOMAMECLEAN」, 「KIRAMECLEAN」

大成建設は2025年に「DX銘柄」に選定されました。同部は、引き続き「建設はロボットと協働する未来へ」をスローガンに、さらなる生産体系革新、ICT活用推進、DX等へ向けた取り組みを推進していく方針です。

大成建設株式会社

大成建設株式会社

建築本部 生産技術イノベーション部長 松崎 重一氏
生産技術イノベーション部 先端ICT推進室 課長 樫本 高章氏

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