IoT導入の背景

トラスコ中山が目指す「物流DX」

トラスコ中山株式会社(以下、トラスコ中山)は、機械工具などの工場用副資材を中心としたプロツールを国内外の仕入先約3,130社から仕入れ、機械工具商やネット通販企業、ホームセンターなど約5,560社の得意先を通じて、製造業や建設関連業、一般消費者まで幅広く販売する専門商社です。

同社では、お客さまへの即納を実現するために、新たな物流プラットフォーム「トラスコプラットフォーム」の構想を掲げデジタル化を推進し、AIやロボットなど最先端の機器やテクノロジーを利用した「物流DX」の実現を目指しています。その範囲は、ロジスティクス、商品データ、UXに至るまで多岐にわたります。

導入の効果

IoT地震観測サービスを活用し、災害時にも物流サービスを継続

同社は災害時に必要性が高まる商品も取り扱っており、2011年の東日本大震災の経験をきっかけに、物流を止めない、災害時のサプライチェーン維持のための施策に取り組んできました。

ひとたび地震が発生し倉庫や交通網に影響が及ぶと、当該地域の企業からの仕入れや倉庫からの出荷が止まるなど影響は甚大です。その場合は、仕入れや出荷、配送オペレーションを早急に切り替え、物流サービスを継続する必要があります。

倉庫における地震の影響を迅速かつ詳細に把握し、さらなる強固なサプライチェーンを構築するため、同社は2021年より全国17か所の物流拠点に、IoTを活用した地震観測サービスを導入しました。

これまで、同社の各物流拠点では、気象庁の震度情報を基に建物の被害調査・各種対応の判断を行っていました。しかし、2021年2月中旬の福島県沖地震の際には、停電により倉庫内のエレベーターや物流機器が一時的に停止するなどの被害があり、より迅速な対応の必要性が浮上しました。改めて被害調査に関わる各社のサービスを比較検討し、白山工業が提供する「IoT地震観測サービス」の導入に至りました。
本サービスの導入後は、対象建物の正確な震度情報に基づいて被害状況を把握し、立ち入り可否や被害調査対応の人数や時間の想定が可能になりました。震度情報が24時間タイムリーに観測でき、遠方にいても被害状況を想像しやすいことが、状況に応じた初動対応につながっています。

導入されたサービスについて

複数の建物の被害状況を一元管理できる「IoT地震観測サービス」

導入されたIoTを活用した地震観測サービスを提供する白山工業株式会社(以下、白山工業)は、高精度計測技術を用いた地震や火山の観測/解析機器の開発・販売や、建物の健全性評価システム等の防災分野でのソリューションを提供している会社です。

地震計は元々高価なデバイスです。そのため、地震計が設置されている場所は限られていました。白山工業では、同社が蓄積した地震計測のノウハウを活かし、地震発生時の初動対応に必要充分なデータの収集・管理という機能に絞ることで、リーズナブルな価格帯で、簡単に設置できる「IoT地震観測サービス」を2020年4月より提供開始しました。設置のコストが下がったことで、全国に複数拠点を持つ企業や、これまでの観測ネットワークではカバーしきれなかった、ピンポイントな場所の震度や被害情報の把握を可能にしています。

「地震計の精度や設置のしやすさに加え、観測震度や機器の稼働状況まで管理できること、アラート通知機能までトータルに提供されている点が決め手となりました。事前にデモ機等の貸出もしていただいたおかげで、データ取得や活用のイメージもつきました。加えて、API連携機能が提供されているので、当社のシステムと直接データを連携し、自社でデータ活用できる点も評価しています」(トラスコ中山 吉田氏)

「リーズナブルな価格」と「設置しやすさ」を支えているのが、地震計に採用したSORACOM Air for セルラーです。少量のデータ通信に最適化されたLTE-Mを活用することで、シンプルな機器を実現し、セルラー通信を利用することで、新たなネットワークの敷設なしで、設置して電源をつなげばすぐに使えるサービスを実現しています。

「地震計の場合、つながっていることがとても大事なので「死活監視」はもともともサービスに入っていますが、ソラコムの場合、プラットフォーム上でSIMの通信状況がわかるためトラブル時の切り分けがしやすいというのが大きな利点となっています。」(白山工業 郡氏)

今後の展開について

最高水準の物流サービスのための、AIやロボットを活用した新たな物流プラットフォーム構想

トラスコ中山では、以前より「物流DX」として平常時の納品や在庫の効率化を進めていましたが、さらに高い目標を掲げ、非常時においても物流を止めず、お客さまに安心して利用いただくことを目指しています。「トラスコプラットフォーム」構想に基づいて、今後AIやロボットの活用を強化するにあたり、「IoT地震観測サービス」の観測データを用いて、震度だけではわからない物流機器や物流システム・ロボットに対する地震の影響などを検証していく予定です。

「有事の際でも物流を絶対止めないことが当社の目指す物流です。最高水準の物流サービスを提供するため、今後も物流力を徹底的に鍛え上げていきます。」(トラスコ中山 吉田氏)

トラスコ中山株式会社
白山工業株式会社

トラスコ中山株式会社
白山工業株式会社

トラスコ中山株式会社 プロパティ課
吉田 奈央可氏

白山工業株式会社 防災営業部 防災企画担当
郡 崇志氏

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