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IoT 導入の背景
改善のためのデータ取得・分析をもっと手軽に
工場における作業データ取得と分析による改善は以前から行われていますが、一部の作業分析は、作業監督者や技術者が紙とストップウォッチを用いて目視による分析やビデオで作業を撮影し、撮影した動画を分析しています。また設備や作業担当者が身につけているロガーなどデジタルデータが取得できている場合も、データはUSBなど記憶媒体を経由で回収されている場合があります。
これらのデータは現場の担当者のパソコンに保管され、共通の分析ツールではなくエクセルでそれぞれの手法で分析することも多く、改善に必要な3ステップ(データの取得、分析、改善)の内、前半2つの工程に多くの時間が費やされている状況がありました。そこで現場に保管されているデータを簡単に集約し、効率よく現場が改善に活かせる分析を提供できないかと考えていました。
IoT 導入の課題
リアルタイム分析には通信が必要
私達は作業動態分析ソリューション「スマートロガー(R)」を株式会社シーイーシーと共同で開発しました。作業員にスマートフォンやウェアラブル型ロガー(ウォッチ型、メガネ型)を渡し、作業データを簡単に取得します。取得されたデータは、SORACOMの通信でクラウド上に蓄積し、BIツールのTableauを用いて分析・可視化します。作業監督者は結果を見るだけで改善行動を実施できるシステムです。
これらの分析をリアルタイムで行うには、データの吸い上げが課題でした。
SORACOMが選ばれた理由
データ暗号化やクラウド連携をサポートするサービス
スマートフォンには直接Air SIMをいれ、ウォッチ型やグラス型のウェアラブル端末(ロガー)ではゲートウェイにAir SIMをいれ、ゲートウェイ経由でロガーデータを取得し、クラウドに送信しています。
SORACOM Airは1回線から、リーズナブルにすぐに使い始められることは大きな利点でした。これにより初期投資に対する投資対効果算出のための事前調査や、技術検証も最小限で済みました。SORACOMのプラットフォームには、IoT システムに必要な機能がサービスとして提供されています。私達のシステムではSORACOM Beamを使って、データの暗号化を実現しています。またSORACOM Beamにより、SORACOM側で認証を管理・付与することで、デバイス側に認証を持たせる事なくセキュアなクラウド連携が実現できています。
私達の工場は海外にもあるので、海外でも同様にSORACOMをすぐに利用できる点もSORACOMの採用を後押ししました。
導入の効果
初期投資を抑えて、まず始める
製造業の改善は長年行われてきたことですが、改善のストーリーを先に検討して、それに習って取得する最小限のデータを決めて分析することもあります。昨今のIoTを活用した改善は、今まで収集を諦めていたような多人数同時や長時間のデータを含め、数多くのデータを一箇所に集約することがスタートです。集約されたビックデータをBIツールで分析することで、新しい改善の視点や新しい価値を見出すことが可能になり、改善のスピードも早くなります。作業監督者や技術者は、データ取得、分析にかける業務時間が短縮され、よりアイデア創出や改善を実施する時間を増やすことができます。
IoT活用にあたり、2つの大事なポイントがあります。1つ目は「お金をかけずに始めること」です。SORACOMの通信だけではなく、サーバなどのインフラ、センサーやマイコン、通信機器などプロトタイプに利用できるデバイスも入手しやすくなり、低コストで始める下地ができています。2つ目は「効果がでたら一気に推進すること」です。そのためにはクラウドの活用が重要です。クラウドを活用すればミニマムな構成でスタートし、結果が出てから柔軟にシステム構成をスケールすることが可能になります。
AGCではシステム部門主導の様々な現場へのプロトタイプ導入にも積極的で、ある程度の結果が見えてから、事業部と一緒にさらなる活用に検討を拡げていくことも多くあります。
今後の展開について
「現場に使いやすさ」をもたらすシステムに挑戦し続ける
全ての企業や工程が新しいものにチャレンジする必要はないと思います。システムは大別すると2つあります。1つは確実性、安定性を重視する必要のあるシステムです。他方は使いやすさを重視する、変化を必要とするシステムです。後者はどんな会社も、新しい技術が出てきたら取り入れて挑戦していく必要があります。
多くの製造業にはセキュリティの壁があります。特に製造データは秘匿で機密性が高く、多くのデータは現場に蓄積されています。しかしデータの重要度を理解すれば、セキュアなIoTやクラウドを導入し「使いやすさ」を重視したシステムに移行できる工程もあるのではないかと考えています。
スマートロガーについては、オフィスワーカーの働き方改善にも活かしはじめています。製造業においての改善とは、「無駄を取る」ものです。しかしオフィスワーカーの仕事の効率化は「無駄」という考え方とは少し違うと感じていて、IoT活用の先には「価値ある時間をどう増やしていくか」という考え方があると思います。
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