Contents
株式会社ソラコムがお送りする「IoT速報-ビジネスの最前線」。今回は、北海道全域で店舗事業や宅配事業などを展開する生活協同組合コープさっぽろが、クラウド型カメラサービス「ソラカメ」を活用し、店舗の惣菜部門のオペレーション改善を進めた事例をご紹介します。
【この記事でわかること】
- コープさっぽろが店舗運営の改善ツールとしてソラカメを導入
- POSデータと映像データから、現場主導で惣菜部門の値引きや廃棄を削減
- 現場の創意工夫が活性化し、店舗間で成功例などの情報共有も盛んに
【ソラカメ活用のポイント】
- リーズナブルな初期費用とカメラの取り付けやすさから、全店舗への一斉展開を決定
- 2ヶ月で全店舗への導入が完了、1ヶ月後には活用の成果が出た店舗も
- クラウドに保管された映像を取り出し日報に活用、必要な時間帯を振り返り
導入の背景や目的
店舗運営の改善に向けて、道内108全店でソラカメを導入
生活協同組合コープさっぽろは約200万人の組合員を擁し、北海道全域に店舗や宅配事業を展開する生活協同組合です。100以上ある店舗では、新鮮な生鮮食品やこだわりの惣菜・スイーツ、生活用品を提供しています。
コープさっぽろでは、惣菜部門の「値廃率」が高いという課題を抱えていました。値廃率とは、売上全体に対する値引きと廃棄の占める比率を指し、効率的に削減することが店舗オペレーション改善の鍵となります。2024年に「値廃率を3%削減する」という目標を掲げ、全店舗で改善に取り組むことになりました。
店舗本部長の大前嘉騰氏は、「惣菜部門は非常にわかりやすい部門で、1日50万円の予算計画を立てたとすると、売上が40万、ロスが10万とその日のうちに詳細が判明します。売上を上げるためにも、一般的なスーパーマーケットよりも当時3%ほど高かった値廃率の削減は、最優先の課題となっていました」と語ります。
単純に惣菜の生産を減らせば値廃率は削減できますが、売上向上にはつながりません。そのため、その時々の売り場の状況を予測しながら、惣菜の生産を管理する必要があります。従来の改善活動の中でPOSデータは活用していましたが、決め手はまだありませんでした。
そこで導入されたのが、ソラコムのクラウド型カメラサービス「ソラカメ」です。これまでも防犯カメラの映像を使って、スーパーバイザーが発注時に参照するという取り組みはありましたが、カメラの活用を広げるには初期コストが課題でした。カメラの初期費用が1台あたり3,980円からというリーズナブルなソラカメなら、ひとつの売り場でも映像で確認したい箇所に、複数のカメラを取り付けることができます。時間毎の売上や値引き・廃棄といった数値のデータに映像データを加えて分析することで、新たな発見と改善が得られるのではないかという仮説を立てました。
まず、苫小牧エリアの大・中・小規模の店舗で1ヶ月間テスト導入し、店舗での設置方法や使いやすさについて確認しました。業務時間中や振り返りの際に、実際にどういう状況なのかを映像で確認できることが業務に役立つとわかり、道内の全店舗への一斉導入を決定。現在では340台のソラカメが稼働しています。
導入した結果
ソラカメがもたらす客観的データと現場の創意工夫
惣菜部門では、各店舗毎にPOSデータをもとに販売傾向を分析し、生産計画を立てて運営しています。生産と販売の連携をさらに強化するため、カメラ映像を活用しています。売り場の惣菜コーナーが見られるように、大型店舗には複数台、小型店舗には1台のカメラを設置しました。
カメラ導入を推進した店舗運営部部長の栗山貴史氏は、「導入に当たっては、店舗運営部があらかじめ設定したカメラを、取り付け方法を解説した業務基準書とともに店舗に送付しました。現場主導の取り付けでしたが、ソラカメは小型で軽量、角度も調整しやすいので、店舗の業務を止めることなくスムーズに取り付けが進み、2ヶ月程度で全店舗に導入できました」と説明します。
ソラカメを導入してわずか1ヶ月後には、はやくも値廃率の削減目標を達成した店舗が現れます。コープさっぽろ ふかがわ店店長の安藤丈志氏は、その効果について以下のように語ります。
「現場の状況に対する感じ方は人によってばらつきがありますが、ソラカメでは映像から客観的に把握することができます。数字だけでは分からない、定性的な情報も見えるようになりました。数値データと映像データを組み合わせて時系列で日報を作成し、振り返りに活用しています。精度の高い分析が可能になり、現場スタッフとの具体的な改善策について議論を重ねることができました」
また大前氏は実際の活用にあたり、店舗に目標は提示したものの、具体的な活用や改善アクションは店長を中心に現場に任せたと述べます。
ある店舗では、カメラの映像分析から、人気商品の「鮭弁当」が夜の時間帯で在庫が少ない傾向がわかり、弁当の生産時間を改善したところ売上が伸びました。このように、当初掲げていた値廃率の削減だけでなく、売上向上も見えてきています。
「ソラカメはデータを収集するためのツールの1つで、導入しただけで改善が進むわけではありません。カメラ映像を見て人が判断し、行動を起こしてはじめて結果が出てくるものです。そこで、データの活用方法や改善の進め方は店長に任せ、現場の方々の知恵に頼り進めていきました。その結果、短期間で成果を得ることができ、現在はその知見をまとめている段階です」(大前氏)
今後の展開
現場のノウハウを共有、さらなる改善と成果を目指す
コープさっぽろでは惣菜部門に続き、他の部門にもソラカメ導入を計画しています。
「部門毎に改善のキーポイントは異なるため、惣菜部門とはまた異なった発見があるはずです。現場の創意工夫を引き出すツールとして、ソラカメのポテンシャルは非常に高く、導入して本当に良かったと感じています。今後は他の売り場にも利用を拡大し、さらなるデジタル活用を進めていきます」(大前氏)
各店舗が発信する成功事例が蓄積されつつあり、店舗間でのノウハウ共有も活発化。コープさっぽろは今後も現場主導の改善活動を推進し、さらなる価値提供を目指しています。
目次
利用したサービス
DOWNLOAD
導入事例ダウンロード
さまざまな業界のSORACOMを利用した最新IoT事例集をダウンロード頂けます。
下記フォームを入力いただき、送信ボタンを押してください。
全て必須項目となります
個人情報の取り扱いについては、
お客様の個人情報に関するプライバシーポリシーをご確認ください。