商業印刷機のデータを遠隔から監視し、稼働の最適化や故障予知ができるソリューションを提供

IoT 導入の背景

印刷の現場をITで高効率・高品質に改善したい

小森コーポレーションは創業100年を迎える老舗の商業印刷機械のメーカーです。特殊な印刷機も提供しており、日本のお札は当社の紙幣印刷機械で印刷しています。店舗で大型ポスターやチラシが印刷ができる商業印刷機械を製造し、印刷会社に納品しています。

印刷業界ではまだ熟練作業者等、人に依存している作業が多い現状です。当社ではITを活用し、高効率・高品質を保つソリューションを提供する取り組みを始めています。

「KP-Connect」は印刷機械の稼働データを収集してクラウドに蓄積し、これらのデータを稼働の最適化や故障予知に活かしていくためのソリューションです。工場長などの管理者は、パソコンやスマートフォンから印刷機械の稼働状況や印刷物の品質、メンテナンス作業を確認することができます。

IoT 導入の課題

印刷工場をインターネットでセキュアにつなぎたい

プロジェクト開始時、納品後の印刷機械の活用コンサルティングは専門部隊が現場でデータを取得・分析していました。「KP-Connect」はこの作業をオンライン化するにあたり、色様々な課題がありました。

まず印刷工場はインターネットにつながっていませんし、LANが敷設されていない場合もあります。次に、セキュリティ面の懸念です。商業印刷機械は、未発売の製品データや機密書類なども扱うため、セキュアにインターネット越しにデータを取得する方法を検討していました。閉域網等ネットワークセキュリティの実現には高額な費用がかかります。さらにこの環境を既存のお客様の工場や環境に手を加えずに、構築する必要がありました。

SORACOMが選ばれた理由

専用のクラウド環境に、閉域網でセキュアに接続できる

SORACOM Air for セルラーのデータ通信SIMカードと、プライベート接続サービスSORACOM Canalでの閉域網接続を利用しています。

印刷機械の操作用パソコンに蓄積されたデータをサーバーに集約し、通信ゲートウェイ経由でSORACOMのネットワークと閉域接続された当社の専用のクラウド環境に送信しています。インターネットを経由しながらインターネットからアクセスできない閉域網で、印刷機械の稼働データをセキュアに取得しています。

システム構成図

導入の効果

SORACOMのサービスを活用し、迅速にシステム構築

印刷工場のお客様や当社のサービス部門にとって、操作用パソコンへのエージェントのインストールと、外付けのゲートウェイ設置で「KP-Connect」をシステム的な負担も少なくすぐに始めることができます。

SORACOM Air for セルラーは1回線から調達可能なので、お客様の増加とともに利用を増やすことができ、製造業の新規事業に向いていると思います。またSORACOMプラットフォームには、あらかじめクラウド連携やセキュリティ強化などのサービスが用意されているため、IoTのシステム構築を迅速に行えます。

「KP-Connect」は、月額課金のサブスクリプションモデルで提供しています。今までの商流と全く異なる新しい取り組みです。私はICT部門の所属ですが自ら、お客様は勿論、サービスや管理部門にメリットを説明するような活動にもかなり時間を使いました。SORACOMの活用で、システム構築時間を短縮してビジネス面にも時間をかけられました。

今後の展開について

IoTで、印刷業界の高効率を実現したい

当社の印刷機械は海外でも多く利用されていますので、「KP-Connect」のグローバル展開を進めています。

また付加価値ソリューションとして、印刷会社の業務プロセスを効率化することにも取り組み始めています。「KP-Connect Basic/Pro」は、工場全体の印刷機械をまとめて管理したり、印刷工程の前後の受注から出荷までの工程も管理するソリューションです。印刷機械を軸に、つなげるテクノロジーを活用し、印刷業界の更なる高品質・高効率を支援していきたいと考えています。