IoT 導入の背景

通信建設会社の新たな取り組み、エネルギーマネジメントサービス

協和エクシオは、日本独特の業種といわれている通信建設の会社です。通信設備、無線、有線LAN、通信機器の交換、設置、さらには通信工事で培ったノウハウをいかして、再生エネルギーなども手がけています。そんな中、通信工事の先にある様々なソリューションサービスも強化していこうという会社の号令のもと、クラウドをベースにしたエネルギーマネジメントのサービスの検討を開始しました。市場調査を進める中、空調機の省電力に注目しました。業務用電力消費の40%は空調が占めます。しかし、業務用エアコンは、家庭用と違い、初期投資が大きいためリプレースが難しいという課題があります。さらに現場の声を聞いていくと、省電力とお客様の快適さのバランスや、従業員のタスクの軽減などの要望も見えてきました。そこで、既存のエアコンで、手軽に省エネを実現するサービス「Energy Viewer」の取り組みが始まりました。

IoT 導入の課題

リーズナブルな提供を阻む通信ネットワークの施工コスト

「Energy Viewer」は、お客様に省エネ効果を最大化しながら、お客様の快適さを守ることを実現しています。快適さを維持するために、商業施設のゾーン別に空調設備の送風・冷房の切り替えや室外機能力の制御の切り替えを行います。その際、導入する商業施設の従業員の方の手間を省くため、センサーで取得した室温データや、電力使用量のデータをクラウドに送信し分析、空調の室外機を自動制御する仕組みを実現しています。各メーカ純正のアダプタを利用することで、メーカ保障を維持し、2000年以降に導入されたエアコンであれば、9割以上のエアコンに「Energy Viewer」が利用可能です。

省エネサービスはいかに短期間で投資を回収できるかがお客様判断の大きな要素である中で、サービス開始後さらにリーズナブルな価格のサービスメニューが必要になりました。

SORACOMが選ばれた理由

リーズナブルにセキュリティの高いネットワークで接続

そこで機能を絞ったライトモデルの検討を行いました。しかし機能削減だけではターゲットプライス実現が難しいため、施工コスト削減に向けて施工コストが大きくかかるPLC通信の見直しを行い、施工が不要の通信としてセルラー通信への変更に着目しました。しかし、PLC通信からセルラー回線に切り替えるにあたり2つの課題がありました。このふたつの課題をSORACOMとAWSの利用で解決しています。
ひとつめの課題は、施工コストが下がる代わりに、通信のランニング費用がかかることでした。お客様の規模にもよりますが、温度データ、電力データの取得、および空調機の制御のため、少なくとも3回線が必要です。これは、SORACOM Air for セルラー plan-Dを用いることでリーズナブルなランニングコストで運用。屋内の施工も大幅に減少し施工コストダウンを実現しています。

ふたつめの課題は、PLC通信という拠点内クローズドネットワークを流れていたデータが、セルラー回線を経由してインターネットを通ることになるため、通信上のセキュリティを確保することです。「Energy Viewer」では、別々に取得した温度データ、電力データを待ち合わせし蓄積、分析するシステムをAWS上に構築しています。これにより、お客様の数の増加に合わせてスケーラブルなシステム構成になったとともに、SORACOM Canalを利用することで、SORACOMの通信とAWS上の自社システムをインターネットを経由しながら、外部からアクセスできない閉域網で接続しています。

導入の効果

施工コストを30%削減、お客様がリーズナブルに導入可能に

この結果、サービスレベルを下げることなく施⼯コストを約30%削減し、お客様のエネルギーマネジメントへの投資コストを、3年未満で回収できるようなサービスに仕上げることができています。
「Energy Viewer」は、ホームセンター、ドラッグストアなどの大規模空間を、複数台のエアコンで空調している施設に効果があり、空調機における電力量の平均約20%の削減実績があります。
「快適性をキープ」「従業員の手間が増えない」「リーズナブルに導入できる」「空調機メーカの種類を問わない」といった特徴がお客様にも評価され、2018年にはビジネスパートナーであるテプコカスタマーサービス株式会社様と共同で、平成29年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。

今後の展開について

蓄積されたデータを分析し、空調管理の知見をお客様に提供したい

今後は、蓄積されたデータをさらに分析し、精度の高いエネルギーマネジメントを実現してい来たいと考えています。毎年のデータを蓄積すれば、昨年の夏と今年の夏の違いや、夏と冬の違い、エリアゾーンの特徴による違いも分析できるようになります。例えば、休日明けの朝は施設内部が外気温の影響を受けているので、しっかり冷暖房を効かせた後、制御したほうがよいといったノウハウも細かくわかってきています。
取得する環境データも増やせば新たな分析も可能になりますし、例えば人感センサーと連携すればお客様状況と空調管理の細かな調整が可能になるかもしれません。加えて、空調機器の細かな制御対応の幅も広げていきたいと考えています。
蓄積されたデータからさらなる知見を得て、「Energy Viewer」をさらにお客様の役に立てるサービスに育てていきたいと考えています。

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