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株式会社ソラコムがお送りする「IoT速報-ビジネスの最前線-」。今回は、株式会社NX総合研究所が開発した、IoTを活用した倉庫内作業の効率化・生産性向上ソリューション「ろじたん」をご紹介します。
【この記事でわかること】
- 物流業界が直面する人手不足、コスト削減、作業効率向上などの課題に対応するため、NX総合研究所がIoTソリューション「ろじたん」を開発
- スマートフォンを活用して倉庫内の作業時間を簡単に計測し、データを自動的に収集・分析するシステムを実現
- 従来の手作業、記憶に頼った業務量計測の課題を解決し、作業把握の効率化と生産性向上を可能に
【SORACOM活用のポイント】
- SORACOM IoT SIMを搭載した端末をユーザーに貸し出すビジネスモデルで、導入までの時間を大幅に短縮
- SIMの使用状況や通信量をリアルタイムで管理し、使いすぎや業務外の利用を防止
導入の背景
配送需要の増大で業務効率化が急がれる物流・倉庫業
株式会社NX総合研究所は、大手物流会社のNIPPON EXPRESSホールディングスの一員として物流業界に向けて、コスト削減や戦略策定を支援するコンサルティング企業です。物流業界のシンクタンクとして、長期に渡り課題解決に向けて取り組んでいます。
日本の物流業界の中で倉庫業もまた慢性的な人手不足に悩まされ、各社が業務効率化に力を注いでいます。社会全体の流通量の増加に伴い、倉庫においても季節変動や突発的な需要増への柔軟な対応、そして迅速かつ正確な作業が求められています。
その中で、倉庫作業者は荷物の入庫・出庫を軸に、様々な仕事を日々兼任しています。限られた人数で作業を効率的に進めるために、業務の全体量だけでなく、各業務に必要な人数・作業時間などを正確に把握し、最適化する必要があります。しかしこれまでは業務量の把握を「目視」で数日間をかけて、担当者・作業内容・要した時間をストップウォッチを片手に紙に記入していました。
こうしたアナログな調査方法では、データの集計にも時間がかかり、正確性にも疑問が残ります。そのため、多くの物流・倉庫業を営む企業が、倉庫業務における人員配置や作業時間の最適化に頭を悩ませていました。
実現したサービス
倉庫内の業務量を可視化する倉庫作業分析ツール「ろじたん」
倉庫業務のコンサルティングで得られた知見を基に開発されたのが、倉庫作業分析ツール「ろじたん」です。スマートフォンを使って倉庫内の作業時間を簡単に計測し、データを自動的に収集・分析するシステムです。
使い方は非常にシンプルで、倉庫で働く従業員に専用のスマートフォンを渡し、アプリで設定した一定の時間毎に発する通知に従い、行っている作業内容を示したボタンを押すだけです。蓄積された作業データは、スタッフが退勤時にシステム連携のための通信が可能な環境で送信すると、管理者がすぐにデータ集計できます。
「ろじたん」を使う際に必要となるスマートフォンやタブレットは、NX総合研究所が顧客に貸し出すので、導入企業は初期費用を抑えられ、一定の期間だけ業務量の調査を行うということも可能です。
「ろじたん」が導入企業の労働時間削減に貢献
「ろじたん」は、通信にSORACOM IoT SIMを採用しています。その理由について、NX総合研究所の取締役である井上 浩志氏は次のように説明しています。
「ソラコムはSIMをすぐに調達でき、在庫を抱える必要がない点が大きなメリットでした。また、ブラウザの管理画面(ユーザーコンソール)から使える、通信速度の制御や使いすぎ防止機能も便利です。さらに、NTTドコモとKDDIの回線が使えるため、全国に点在する倉庫をカバーできる広いカバレッジも決め手でした」
「ろじたん」はIT担当がいない倉庫の現場でも、少ない初期コストで速やかに導入できるよう、NX総合研究所があらかじめ必要な設定を行った上で、デバイスと可視化・分析のアプリケーションをセットで導入先に貸し出しています。SORACOMは回線の開始・休止などの操作、グループに紐付けた回線管理や、通信速度を制御できるため、業務外のスマートフォン利用を防ぐといった細かい設定が可能です。このような回線管理の機能を活用して、月額料金で使えるサブスクリプション形式でのサービスを実現しています。
また現場では、ツールの導入が受け入れてもらいにくいという難しさもあったと井上氏は述べます。
「スタッフの一挙一動をチェックする監視ツールと誤解されないように、どのように導入すれば現場で受け入れてもらえるかも大きな課題でした。導入先企業のリーダーや管理者に、ツールがスタッフのスキルアップや職場全体の成長に役立つといった先々の効果についても、説明をしていただくようお願いすることで、働きやすい現場を作るためのツールとして活用されるようになりました」
「ろじたん」を導入した企業からは、効果を実感する声が多数寄せられているといいます。
「導入されたほとんどのお客様で、残業時間が減っています。正確な計測で作業が最適化された結果であることはもちろん、作業が可視化されることで従業員の意識が高まり、効率的な働き方を心がけるようになったことが、労働時間の削減に大きな影響を与えているのではないかと考えています」(NX総合研究所 シニア・コンサルタント 福井 康雅氏)
今後の展開
AI活用も視野に、各業界の業務改革を支えるシステムへ
NX総合研究所は「ろじたん」の成功を受け、他業界への横展開や新技術の導入を進めています。「ろじたん」は物流業界向けに開発されたものですが、その汎用性の高さから、建築業や工場、管理部門でも幅広く利用が進んでいます。
また、AI技術を活用した新機能の研究開発も進められています。具体的には、AIを活用して作業内容を自動で判別したり、蓄積されたデータから課題を自動抽出し、解決策を提示する機能の開発が進行中です。井上氏は「東京海洋大学と、倉庫内作業計測の自動化と次世代型改善事例データベースの構築をテーマに共同研究にも取り組んでおり、AI技術を活用したシステムのさらなる進化を目指しています」と語っています。
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