株式会社ソラコムがお送りする「IoT速報-ビジネスの最前線-」。今回は、株式会社よびもりが実現した、IoTを活用した海難救助ネットワークシステム「よびもり(yobimori)」をご紹介します。

【この記事でわかること】
・漁師町に生まれた創業者の体験をきっかけに、海難事故の一次救助が可能なネットワークシステムをIoTで実現
・セルラー通信を活用したSOS発信端末とスマートフォンアプリを開発。事故発生時にボタンを押してアプリに情報を通知。通知を見た近隣の船による一次救助が可能に
・漁業関係者だけでなく、観光船や建設会社などからもニーズが増加。今後は海レジャーを楽しむ人も含め、海に出るあらゆる人のセーフティーネットとなる存在を目指す

【SORACOM活用のポイント】
・SORACOMの導入でセルラー通信ができ、SOS発信端末の位置情報取得が可能に。事故発生時はSOS発信端末の位置情報がアプリに通知される

導入の背景

サービス開発のきっかけは祖父の海難事故

株式会社よびもりは、北海道札幌市に本社を置くスタートアップです。IoTを活用した海難救助ネットワークシステム「よびもり(yobimori/以下、よびもり)」を開発・提供しています。

代表の千葉佳祐氏は、漁業が盛んな北海道紋別市の出身で、親族や近隣住民、学生時代の先輩・後輩など、近しい人たちが漁師として働いており、海難事故も身近でした。漁業を営んでいた千葉氏の祖父も、船の転覆事故で他界。その体験から海難死亡事故を減らしたいという思いでスタートしたのが「よびもり」でした。

実現したサービス

近隣の船による一次救助を可能にした、海難救助ネットワークシステム

「よびもり」の仕組みは非常にシンプルです。必要なのは、首から下げられる小さなSOS発信端末とスマートフォンのアプリのみ。SOS発信端末は、セルラー通信を使って一定時間ごとに位置情報を取得しており、1回の充電で数日稼働することができます。

漁師など海に出ている人が海難事故に巻き込まれた場合、端末のボタンを押せば、アプリに事故発生と経過時間、現場の位置情報が通知され、周囲の船が一次救助に向かえるという仕組みです。アプリへの通知は複数名に行うことができ、上限数に制限はないため、組織単位で導入することもできます。

解決したい課題に対して、必要な機能を厳選した仕組みを構築

海難事故で人が亡くなってしまうのは、事故発生に気づくのが遅れてしまうことが主な要因です。千葉氏は自身の身近で起きた事故の原因を追究し、どのような機能があれば事故をなくせるのかを考え抜いたことで、このようなシンプルな仕組みにたどり着いたといいます。また、事故発生から迅速に救助に向かうことで救命の可能性が高まることから、周囲の船同士で一次救助が可能なネットワーク構築を着想しました。

「『よびもり』では、『海難死亡事故の抑制』という解決したい課題に対して、本当に必要な機能だけを選び抜きました。このサービスを通じてやりたいことはたくさんありましたが、全てを実現させようとしたら、スタートアップである私たちは資金が底をついてしまいます。海に出ていく人たちの命を守る機能さえ実現できればいい。アプリのUXの最適化など、自分たちのやりたいことはひとまず横に置き、課題の本質を見極めることが何よりも大切なのだと思いました」(千葉氏)

今後の展開

海に出るあらゆる人のセーフティーネットに

「よびもり」は現在、漁業関係者を中心に導入が進んでいますが、最近では問い合わせも増加し、観光船や海上の建造物に携わる建設会社、洋上風力発電の建築・メンテナンスを行う企業、海上での調査・研究を行う大学などでの導入事例も増えているといいます。
そうしたニーズの増加も受け、今後はシステムのアップデートを行う予定です。通信エリアを広げながら、バッテリーの駆動時間もさらに長くできるよう改善を検討しています。

いずれは海で働く人たちだけでなく、釣りなどのレジャーを楽しむ人も含め、海に出ていくあらゆる人のセーフティーネットになれればと考えています。そのためにも、まずは北海道で普及させ、それを足掛かりに日本全国にサービスを広げていく計画です。「海の上で何かが起こっても、『よびもり』があるから迅速に対応でき、安心・安全が保たれていく」―そのような社会インフラとも呼べる存在を目指して、今後も会社に新たな仲間を加えながら、事業を拡大させていく構想です。

既存製品を活用すれば、IoT開発は難しくない

エンジニア経験やIoT開発経験がなかったところから、要件定義など上流工程に携わるまでになったという千葉氏。「SORACOMのような既存のIoTプラットフォームサービスを使うことで、もともとIoTに詳しくなかった人間でも製品開発にこぎつけることができた」と語ります。

「サーバーや回線をつなぐためのコードを書く必要がなく、既存製品を組み合わせていけば、端末やシステムの一部機能を実現させることができました。難しい開発に取り組んだ感覚はありません。まるでパワーポイントで資料をつくるかのように、SORACOMが提供しているプラットフォームの中で必要な機能や製品を選択し、それをつなげていくことで完成したのが『よびもり』なんです」(千葉氏)

最後に、これからIoT開発に挑む方へのメッセージもいただきました。
「どんなサービスを実現するにしても、大切なのは本当にやらなければならないことを見極めることです。解決したい課題があるのなら、それを細かく分解してみる。そうすると、課題の本質と解決策が見えてきます。その解決策をソリューションとして構築していくことで、精度の高い製品・サービスが生まれていくのだと思います」(千葉氏)

DOWNLOAD

導入事例ダウンロード

さまざまな業界のSORACOMを利用した最新IoT事例集をダウンロード頂けます。
下記フォームを入力いただき、送信ボタンを押してください。

全て必須項目となります

個人情報の取り扱いについては、
お客様の個人情報に関するプライバシーポリシーをご確認ください。