【この記事でわかること】
・象印マホービンの「みまもりほっとライン」は、ポットの利用で生活状況を把握する高齢者見守りサービス
・自社サーバーからクラウドへの乗り換えで、サービスの機能拡張が容易に
・IoTデータ活用ですぐに安全確認ができる、より安心なサービスへ

【SORACOM活用のポイント】
IoT SIMを用いてポットに通信を搭載
・デバイスで得たデータをSORACOM経由で安全にクラウドへ転送

導入の背景

IoT高齢者みまもりサービスの先駆者が22年ぶりのフルリニューアル

ポットからお湯を注ぐだけで、離れて暮らす家族に「元気だよ」と伝えられる。
IoTを活用した高齢者の見守りサービスとして、2001年に先駆的にスタートしたのが象印マホービン「みまもりほっとライン」です。1日2回、任意に指定された時刻に「電源を入れた」「給湯した」といった使用状況がメールで通知され、発売以来親子のほどよい距離感を保つコミュニケーションツールとしても根強い人気があります。

2023年、フルモデルチェンジを機に、システムをオンプレミス(自社開発システム)からクラウドに移行するにあたり、IoTプラットフォームSORACOMを導入しました。
今回は、「みまもりほっとライン」の開発秘話やアップデートの内容、クラウド化で広がったIoTサービスの可能性について、象印マホービンのCS推進本部みまもりほっとライン担当 サブマネージャー川久保亮氏、第三事業部サブマネージャー野村忠司氏にお話を伺いました。

実現したサービス

クラウド化で多くの機能を拡充

―今回、22年ぶりにフルリニューアルされるとのことですが、ポイントを教えてください。
川久保氏:まず、専用ポット「iポット」の形状が変わりましたね。これまでは通常のポットの底部に小型の無線機を取り付けていたので、”底上げ”されていたのですが、通信基板を内蔵できたのでポットのサイズがコンパクトになりました。

みまもり用ポットアイポット―機能面ではいかがでしょうか?
川久保氏:新たに空だき時の通知、長時間(24時間もしくは36時間)操作がない場合の通知、ポット本体の不具合のリアルタイム通知が可能になりました。

―離れて暮らす高齢者の生活リズムの変化に加えて、ポットの状態がより把握しやすくなったのですね。
川久保氏:ええ。状況把握の観点で言えば、さらに、過去と直近の日にちを任意で2つ指定してグラフで比較できたり、以前は30分のリードタイムが必要だったところほぼリアルタイムでのデータ更新が可能にもなったので、より安心してお使いいただけるようになりました。

象印の川久保氏

―やはり、親子間での利用が多いのでしょうか?
川久保氏:そうですね。50~60代のお子さまが80〜90代の親御さんを見守るケースが多いです。

―見守り対象の高齢者の様子が遠隔で把握できるのは、人手不足が深刻な介護現場や地域の見守り体制においても有用ですね。とはいえ、多数の利用者の状況を少人数で確認するのは大変なのではないでしょうか?
川久保氏:今回のフルリニューアルから、おひとりの契約者が複数の電気ポットの利用状況を一度に確認できる「一括確認画面」を搭載しておりますので、遠隔でも簡単に状況把握ができるようになりました。単身の高齢者世帯を見守るマンションの管理人さま、見守りネットワーク作りに取り組まれている街町や村の自治会長さまなどにも活用いただけると思います。

一元管理をしている画面のスクリーンショット

クラウド化した今だからできるIoT活用

―今回のリニューアルでは、機能面のアップデートが充実していますね。第4世代ということですが、このタイミングで多くの機能が拡充された背景を教えてください。
野村氏:今回はじめてクラウド化に踏み切り、多様な機能やサービス提供の基盤となるシステムを新たに構築しています。このシステムのおかげで収集したデータを蓄積・分析して運用できるようになり、iポットの機能アップデートにもつながりました。家電製品を軸としたIoT活用には欠かせないシステムです。
クラウド化で、サービスローンチ当初から理想としてきた「みまもりサービス」としての世界観の実現に近づいてきたという実感があります。

象印マホービンの野村氏

―オンプレミスからクラウドへの移行はスムーズに進みましたか?
野村氏:たしかに最初は「クラウドとは何か」を説明するところから始まりました。ただ、コスト削減やセキュリティへの配慮、そして、クラウド活用で常にアップデートされる機械学習などの最新サービスが利用できる、といったメリットを伝えてリニューアルプロジェクトがスタートしています。
社内でもクラウド化への期待は高まっているのを感じます。

iポットからクラウドへのデータ連携をSORACOMが支える

―今回のフルリニューアルでSORACOMを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
野村氏:パブリッククラウドとの親和性の高さです。iポットとクラウドの間をつなぐ通信にはSORACOM IoT SIMを使用しています。

クラウドには、Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」を利用していますが、SORACOMにはクラウドへのデータ連携をサポートするサービスがあります。セキュリティの担保に加え、データの暗号化もSORACOM側でできるので開発にかかる期間や工数が短縮できます。運用時にもデータ通信量やデバイスの負荷を下げられ、管理コストも大幅に削減できました。

―技術的なサポート面ではいかがでしたか?
野村氏:技術的な質問にも丁寧に対応してくださり、スピーディーに回答いただけたので、とても満足しています。

みまもりほっとラインの仕組み

今後の展開について

他社サービスとの積極的な連携も視野に

―みまもりほっとラインは、もともとどのような経緯で誕生したのですか?
川久保氏:1996年に、東京・池袋で病気の息子さんと看病されていた高齢のお母さまが死後1カ月後に発見される、という悲しい出来事がありました。それを知った医師から、直接弊社に再発防止策として、「日用品を利用して高齢者の日々の生活を見守る仕組みができないか」と相談されたのがきっかけでした。

―今回は22年ぶりにクラウド化を伴うフルリニューアルでしたが、今後のみまもりほっとラインサービスの展望を、ぜひお聞かせください。
野村氏:20年前は、今よりもデータ通信やシステム運用にかかる費用も高額でした。色々なデータを収集して見守りに生かしたい、というアイディアは当初からありましたが、データ通信や、サーバーやストレージの運用にかかるコストを考えると、「つながる」サービスを提供するには、必要最低限の機能に絞りこむ必要がありました。しかし、今はクラウドやSORACOMのようなIoTプラットフォームを使うことで、以前よりリーズナブルかつ短期間で、多機能な「つながる」サービスを実現できます。そのような背景のもと、今回のフルリニューアルを決断しました。

今後は、より理想的な、IoTを活用したみまもりサービスの実現に向けて、機能拡充をすすめることはもちろん、社内の枠を超えて他社のサービスや技術との連携も視野に入れていきたいと思っています。「我々ならこのようにみまもりほっとラインを活用する」といったアイディアをお持ちのかた、ぜひお声がけください。

象印マホービン株式会社

象印マホービン株式会社

第三事業部サブマネージャー野村忠司氏
CS推進本部みまもりほっとライン担当サブマネージャー川久保亮氏

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