【この記事でわかること】
・株式会社hacomonoが運営する「hacomono」は、ウェルネス業界向け次世代CRM(顧客管理)および予約システム
・デジタル入館証のQRをQR入退館デバイスで読み取り、自動で認証・解錠するIoTデバイスを独自で開発、会員登録から店舗利用まで無人での運営を可能にし入館データが自動取得できるように
・SORACOMのサービスを活用して、全国に展開するIoTデバイスを効率的に管理

【SORACOM活用のポイント】
・設置店舗に新たなネットワークを敷設することなく、セルラー通信でセキュアにプラットフォームに通信可能
・IoTデバイスから送信されたデータをSORACOM側で暗号化して安全にクラウド連携
・IoT SIMが挿入されたデバイスを遠隔からセキュアに制御
・有線LAN環境であってもSORACOMを利用し、通信形態に依存せずに共通してSORACOMでデバイス管理

導入の背景

サービス利用会員のみが解錠できるQR入退館デバイスをIoTで開発

hacomonoは、フィットネスクラブやゴルフ・スイミング・テニスなどウェルネス領域の各種スクール、サウナやエステといった店舗や施設運営の基幹業務をオンラインで一括管理できる業界特化型のバーティカルSaaSで、全国3400店舗に導入されています(2023年6月時点)。

「顧客体験にまつわる機械的業務とその管理のすべてをhacomonoで実現することで、インストラクター、コーチ、スタッフからエンドユーザーまで、店舗・施設に関わるすべての人の体験を向上させたいと考えています」(株式会社hacomono IoT開発責任者 岩貞智氏)

店舗側は、会員管理・予約・決済をはじめ、スクール管理から在庫管理まで一元管理できるシステムです。業務効率化により事務作業時間を削減したり、運営に関するさまざまなデータを可視化して経営判断に生かしたりすることができます。

利用者側にとっても、見学や体験の予約・決済、入会手続きはもちろん、チェックインや現地会計、オンラインレッスンの管理・実施まで、すべてオンラインで完結でき、ストレスフリーにサービスを利用できます。

同社は、業界特有の課題解決に特化したIoTデバイスの自社開発も担う、メーカーとしての顔も併せ持っています。QRを読み込むタイプの「QR入退館デバイス」は、24時間運営のジムなど、無人で運営する店舗や入館情報の自動化ニーズに向けたサービスの一環として、会員のみが解錠して入館できるようにするIoTデバイスです。

同社はもともと、プロダクト開発初期からセルラー通信の導入は検討していましたが、ネットワーク強度や顧客ニーズを考慮し、有線LANも必要要件に組み入れました。

「進捗のスピードが重要なスタートアップにおいて、プロダクト初期段階でのリソース投下は本質的なものに絞りたかったので、セルラー通信も有線LANも意識せず同じように管理したいと考えていました。

SORACOM Arcは、オープンソースVPNのWire Guardを活用して仮想SIMを各デバイスに発行して認証できるため、セルラー通信のデバイスとともに有線LAN接続のデバイスも一元管理できると知り、導入を決断しました」(岩貞氏)

実現したサービス

SORACOM導入で店舗のネットワーク環境に合わせたシステム構築が可能に

「QR入退館デバイス」に後付けでセルラー通信を搭載できるようにしたことで、ネットワークが敷設されていない場所や、店舗内の有線やWi-Fiが届きにくい場所にも、スムーズなデバイスの取り付けが可能になりました。

一方で、これからの事業拡大を視野に入れると、地下など電波状況が悪い場所に新設店舗を構えた場合、安定性を優先して有線のLANケーブルを利用する可能性も考えられます。

そのため、通信規格ごとにシステムを作り直すことなく、複数の通信規格を柔軟に利用しながら、シームレスにひとつのシステムに連携する方法が必要でした。

hacomonoでは、複数の通信規格への対応にもSORACOMを活用しています。SORACOMでは、セルラー通信を用いたデータ通信サービスのほかに、Wi-Fiや有線でつながるデバイスも仮想的にSORACOMにつなぐサービスがあります。このサービスを使うことで、通信規格を問わず、すべてのデバイスをまとめてセキュアにクラウド連携させることができます。

「SORACOMによって、店舗の通信環境ごとに柔軟な接続方法が選べて、一元管理できるようになりました。Amazon Web Services(AWS)との親和性が高かったのもポイントです。デバイスへのリモートメンテナンスにもSORACOMを活用しています」(岩貞氏)

QR入退館デバイスを提供することで、会員が施設に入館する際には、顔認証やQRコード認証による本人確認で解錠・施錠するとともに、入館・退館の記録が可能になりました。

ウェルネス店舗運営者には、入館・退館履歴が管理サイトに反映されるので、来場者数を簡単に集計できるというメリットもあります。QR入退館 デバイスで収集した来場者数データは、利用者側の体験向上にも役立っています。たとえば、hacomonoのシステムをベースに、ウェルネス店舗が提供する独自のアプリ、ウェブサイトやLINEに現在の混雑状況を表示する事例もあります。

IoTデバイスを安定的にセキュアにネットワーク接続させたことで、扉の解錠・施錠だけでなく、収集データを店舗運営における顧客サービス向上に生かすことにもつながっています。

今後の展開

岩貞氏はhacomonoの今後について、「基幹システム化およびウェルネス店舗DXの拡大、また、フィンテックや健康経営に関するマルチプロダクトのリリースを予定しています」と語ります。

「中長期的には、ウェルネスの社会実装や予防介護などをテーマにヘルスケア産業へも参入していき、フィットネスから始まったhacomonoは市場を拡大し、日本を代表する社会のインフラ企業を目指します」(岩貞氏)

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