IoT 導入の背景

限りある土地と水資源を最大限利用し、農業をもっと豊かに

灌漑システムを活用した農業のパイオニアであるHortauは、Hortauが特許を取得している技術を応用し、水の消費量、光熱費、環境への影響を抑えながら、農作物の収穫高と品質を最大限に向上させる取り組みを、2002年から北米の生産者向けに行っています。

Hortauのスマート灌漑システムは、最先端のIoT技術と、ニーズに合わせた農業技術を組み合わせることで、農業が直面している最も大きな課題のひとつである、「いかにして限りある土地と水資源を最大限に活用し、急激に増え続ける人口に食料を供給すべきか」という問題に取り組んでいます。

IoT 導入の課題

真水の総使用量の多くの割合を占める農業用水を最適化

農業というと、農作物や家畜の飼料を育てる土地がすぐに思い浮かびますが、その土地を潤す水も同様に重要です。2012年にUSDA(アメリカ農務省)によって実施されたCensus of Agriculture(農業センサス)によれば、灌漑農地はアメリカの国土全体のわずか14パーセントにすぎませんが、その農業総売上高はアメリカ全体の40パーセント近くに達しており、金額にして1,520億ドルを超えています。

世界のほとんどの地域で、真水の総使用量に占める農業の割合は70パーセントに上ると考えられています。カリフォルニア州のような重要な農作物栽培地域では、年間400億ドルの農作物が灌漑農地で生産されており、その数字はさらに増える可能性があります。また、生産者にとってもどのタイミングでどれだけの水が必要かを正しく把握することは難しく、農業用水の管理は手間とノウハウが必要される作業です。

Hortauは、限りある水資源を有効に利用しながら、生産性と効率性を向上させる新たな方法として、スマート灌漑システムを発案しました。

SORACOMが選ばれた理由

マルチキャリアカバレッジと作業の効率化

Hortauでは、より広いエリアでご利用いただけるよう、アメリカとカナダの各地で複数の通信キャリアと同時に契約してきました。しかし、SORACOMを使えば、1枚のSIMで国を超えてセルラーネットワークを利用でき、加えてアメリカではAT&TとT-Mobileの両方につながるといったグローバルなマルチキャリア接続が可能です。SORACOMを利用することにより、Hortauは広いエリアカバレッジを維持しながら、スマート灌漑デバイスを工場で事前に通信設定した上で各地に出荷、現地で簡単にセットアップできるようになりました。通信契約が一本化されたことで、バックオフィス業務も効率化されました。

SORACOMならではのクラウドネイティブなアーキテクチャは、HortauがレガシーなオンプレミスシステムからAWSへ移行した際にとても役立ちました。

Hortauのスマート灌漑デバイスとHortauシステムのセキュアな接続と、双方通信にもSORACOMサービスを利用しています。具体的には、SORACOM Canalを用いてAmazon VPC上のHortauシステムとSORACOMプラットフォームを閉域接続を確立し、SORACOM Gateを用いてHortauのスマート灌漑デバイスとシステムをひとつの仮想プライベートサブネットに参加できるようにしています。これにより、プライベートIPアドレスを使ったセキュアな双方向通信が可能になります。デバイスに独自のDNSを設定できるSORACOM AirのカスタムDNS機能、ネットワーク経路の冗長化に使えるSORACOM Junctionもスムーズなシステム移行に役立ちました。

システム構成図

導入の効果

IoTスマート灌漑システムで、枯死率の改善、水利用量の節減、果実の品質向上を実現

植物には利用可能な資源に適応してその成長を調節する能力があります。その自己調整メカニズムの鍵となるのが、「土壌張力」と呼ばれる計測基準です。「土壌張力」は植物が土から水分を吸収する作業がどれくらい大変かを測るものであり、土壌の種類や気象条件によって大きく異なります。

Hortauの植物向けの灌漑システムでは、Hortauが特許を取得している通信機能搭載のスマート灌漑デバイスを使って「土壌張力」をリアルタイムに継続的に計測します。生産者、農場経営者、現場のアドバイザは、この情報をもとに地中の状態を把握し、農作物の健康状態と生産性を保つために灌漑を行うかどうかを決めることができます。

Hortauのスマート灌漑システムを導入しているあるピスタチオ生産者は、以前は約30%だったピスタチオの枯死率を0%近くまで削減しました。カリフォルニア州セントバレーでタマネギを栽培している農家は、灌漑をHortauで管理することで水の消費量を25〜30%削減しています。ブドウやクランベリーなど、過剰な水やりに注意が必要な農作物の生産者からは、果実の品質が向上したことが報告されています。

今後の展開について

スマート灌漑システムをさらに広く展開、世界中の生産者を支援する

Hortauは、アメリカとカナダの北米各地の農場で数千台の観測局を稼働させています。トウモロコシなどの種を蒔いて育てるような農作物から、ナッツ類、ベリー類などの樹木になる農作物まで、あらゆる農作物の生産者にスマート灌漑管理サービスを提供しています。

今後の展開として、中南米の生産者にもサービス提供を開始、展開を拡げていきます。

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