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【この記事でわかること】
・豊島区は公園管理の一環で、防犯カメラを設置し、管理している
・以前は、現地に赴きSDカードに保管された映像を確認する必要があり、防犯カメラ設置台数の増加に伴い管理業務の効率化が求められていた
・2023年3月に防犯カメラをIoT化したことで現地に赴く確認作業が不要になり、大幅に業務を効率化した
【SORACOM活用のポイント】
・防犯カメラの映像をセルラー回線を通じて、リモートから管理可能に
・確認したい映像だけ選択してクラウドに送信することで通信費用を抑え、運用コスト削減も実現
導入の背景
設置が増える防犯カメラの管理効率化とコスト抑制
自治体の防犯対策において、緑が多く死角の生まれやすい公園は重点地域となりやすく、東京都23区のほとんどで防犯カメラの設置が進められています。
豊島区でも、公園への防犯カメラの設置を進めており、2018年には4園だった防犯カメラ設置公園の数が22年には38園にまで増加しました。防犯重点地区に指定されている池袋駅周辺では、防犯カメラの設置と自治会・警察の警備強化により犯罪数が減少し、効果が実証されています。
一方、防犯カメラの設置数が増えるに従い、「業務効率化」「運用コストの削減」という2つの課題に直面するようになりました。
防犯カメラの設置・管理を外部の警備会社に委託する自治体も多いなか、豊島区はすべて区で担っています。当初導入していた防犯カメラはSDカードで映像を保存しており、有時の映像を確認する際は、現地のカメラからSDカードを取り出して確認しなければなりません。
さらに捜査機関の立ち合いなども含めると、2人で作業に当たったと想定した場合、1回あたりの延べ作業時間は5時間にも上っていました。
「捜査機関への映像提供依頼も増加しており現状では年間約60回にもなるため、年間の延べ作業時間は300時間となり職場での負担が大きく、業務効率化が課題でした。
また、SDカードを取り出してはじめて、カメラが起動しておらず撮影できていないことが判明するというケースもあり、動作確認にも課題感が残っていました」(豊島区都市整備部公園緑地課主任 酒井和広氏) コスト面においても、従来のSDカードタイプのカメラでは、SDカードやファンの摩耗による交換などにかかる保守費は、設置台数が増えるほど比例して増加するため、継続的に防犯カメラを活用していくには、いかに運用コストを抑えるかも重要です。
これらの課題を解決するため、2023年3月にIoT防犯カメラにSORACOMの通信を導入しました。
実現したサービス
現地確認不要で稼働状況もすぐに確認
IoT防犯カメラ導入をサポートしたのは、エッジコンピューティングを用いたIoTデバイスやクラウドサービスを組み合わせた映像ソリューションを展開する、ソラコムのパートナー企業のアムニモ株式会社です。
豊島区の事例では、アムニモ映像ソリューションを構成する「エッジゲートウェイ(屋外版) AG20」や「統合ビデオ管理システム」などを導入し、防犯カメラをIoT化しました。
防犯カメラを、エッジコンピュータ―、LTEルーター、PoE Hub(LANケーブルのみで電力供給も可能)、録画用ストレージ(SSD)をAll in Oneで1台に搭載したアムニモのエッジゲートウェイにつないで現地に設置。録画・保存した映像をSORACOMのセルラー回線を通じて、クラウド上の統合ビデオ管理システムにアップロードできます。
リモートから防犯カメラにアクセスし、必要な映像のみを選別してアップロードできるため、常時接続する必要がなく通信費やデータ保存コストが大幅に抑えられます。
「通信ゲートウェイが追加されても、設置費は従来サービスよりも安くなるほど。なにより、リモート管理が可能になったことで保守費についても抑えられたため、導入に関して関係者からスムーズに理解が得られました」(酒井氏)
このシステムにより、遠隔で防犯カメラの稼働状況を常時確認できるようになり、撮影をし損ねるリスクを大幅に軽減しました。
統合ビデオ管理システム上では、10分ごとに映像がキャプチャされてタイムスタンプが付与されているため、映像を確認・提供する必要性が発生した場合は、該当日の映像のみをダウンロードして送付するだけで完了するため、業務効率も向上しました。
「1時間の映像を提供するのに必要な時間はダウンロードにかかる10分間のみ。職場の働き方改革やDXの推進につながりました」(酒井氏)
簡単にリモートから映像が確認できるようになったため、住民からの問い合わせにも対応しやすくなりました。
「esriジャパンが提供する地理情報システムの『Webマップ』との連携によって、防犯カメラ位置と画角・キャプチャ情報も同時に把握できるため、職員への情報共有が早くなりました。豊島区は、世界保健機関(WHO)が推奨する事故や暴力・ケガのない安全・安心なまちづくりに取り組む“セーフコミュニティ”の国際認証を取得しており、これらの取り組みもセーフコミュニティへの貢献につながっています」(酒井氏)
今後の展開
AI技術導入で異常検知、自動通知機能も
IoT防犯カメラの導入で業務効率化と運用コスト削減を実現したうえで、アムニモ取締役開発部長の小嶋修氏はさらなる展望を描きます。
「映像を四六時中見ているわけにはいきません。今後はトラブルが発生する前にAIによる異常検知ができるようにしたいですね。現状のシステムでも進入禁止エリアへの侵入などわかりやすいケースについては検知可能ですが、さらに発展性があります。職員さんの負担軽減に向けて、異常を検知した際の自動通知機能も提供する予定です」(小嶋氏)
酒井氏は、防犯カメラの運用が効率化されたことで導入拠点の拡大も視野に入れています。
「災害時対応としては、神田川の氾濫に備えた監視や、急激な降雨による傾斜地の土砂災害対策にも応用できるため、費用対効果が認められれば導入も検討できるだろうと個人的には考えています」(酒井氏)
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