Contents
株式会社ソラコムがお送りする「IoT速報 - ビジネスの最前線」。今回は、服薬アドヒアランス(処方薬の服用スケジュールの遵守)の向上を目指す医療IoTデバイスを開発するRxKeeper社の事例をご紹介します。同社はSORACOMを活用し、患者の日常生活に溶け込む服薬管理デバイスを開発。服薬状況の記録と医療従事者へのデータ共有を実現しました。
【この記事でわかること】
- 服薬アドヒアランスという医療課題への、IoTを活用したシンプルな解決方法
- スマートフォンやWi-Fiに依存しない、セルラー通信内蔵のIoTデバイス設計
- クラウド連携によるデバイス側の負荷軽減と、既存の医療システムへの柔軟な統合
【SORACOM活用のポイント】
- SORACOM LTE-Mボタンにより、シンプルかつ省電力なセルラー接続を実現。建物内や地下、遠隔地でも安定した通信が可能
- マルチキャリア対応により、さまざまな通信環境下でも確実にデータを送信
- SORACOMのクラウド連携サービスを活用し、デバイスからAWS上のシステムへデータを転送。デバイス側のリソース消費を削減
導入の背景
日常生活に自然に溶け込む服薬管理デバイスを目指して
服薬アドヒアランスとは、患者自身が治療の意義を理解し、処方された薬を主体的に正しく服用することを指します。2001年にWHOが推進方針を示して以降、患者が治療に積極的に参加する考え方として世界的に広まりました。
RxKeeper社が開発した「RxKeeper」は、処方薬の服用スケジュールを患者が確実に守れるよう支援する、服薬管理デバイスです。日常生活を妨げることなく、薬の保管、服薬時間のアラーム通知、服薬状況の記録、医療従事者へのアラート送信までを一台で担います。
親会社Status Alert社の創業者兼CEO、Nagesh Kadaba氏は、自身の家族の介護経験からこのデバイスを着想しました。当初から「導入のしやすさ」を重視し、日常生活に溶け込むことが普及の鍵になると考えていました。
そこで着目したのが、すべての患者がすでに持っている「薬の容器」です。処方薬を収納できるだけでなく、薬へのアクセスを検知・記録できる小型ボックスを構想しました。

開発にあたり、日常的に持ち歩けるよう、バッテリー駆動のポータブル設計が求められました。そのため、できるだけ電力を消費せずにデータを送信できるシンプルな通信の仕組みが必要でした。
データの共有先は主治医や医療従事者です。チームは当初、スマートフォンアプリ経由の通信を検討しましたが、設定に手間がかかり、操作に不慣れな患者にとって障壁になることがわかりました。
次にWi-Fi接続を試みましたが、特に農村部の広い住宅では電波が届かない場所が多く、実用的ではありませんでした。そこでセルラー通信を検討しましたが、遠隔地の患者にもサービスを届けるには、広い通信エリアのカバーが不可欠でした。
導入の結果
ボタンひとつで実現する、シンプルで確実なソリューション
最終的に、この小型ボックスの通信基盤としてSORACOMが採用されました。SORACOM IoT SIMは、1枚のSIMでひとつの国の中でも複数の通信キャリアにつながる「マルチキャリア」に対応しています。
中でもKadaba氏が注目したのが、IoT SIMが内蔵された「SORACOM LTE-Mボタン」です。ボタンを押すだけであらかじめ設定したプログラムが実行されるプログラマブルなスマートボタンで、消費電力を抑えながらSORACOMの広範なネットワークに接続できます。
「私が求めていた機能は、LTE-Mボタンにありました。このボタンの素晴らしさは、シンプルであり、ほぼどんな状況でも動作するということです。患者の服薬状況をトラッキングすることで、臨床医、医療提供者、そして患者自身がより良い判断を下せるようになります」(Kadaba氏)
また、SORACOMのクラウド連携サービスを利用し、デバイスからAWS上のバックエンドへ直接データを転送する仕組みも構築しました。データ送信処理をクラウド側に任せることで、デバイスの電力やリソースの消費を最小限に抑えつつ、既存の医療システムへスムーズに統合できています。

「データを送信したら、AWSのクラウド上のシステムに届くまで何も心配しなくてよい。事業者としてこれは非常に大きなことでした。箱から出してすぐに使えるソリューションとしてお客さまに届けられます」(Kadaba氏)
RxKeeperは、薬の容器としての機能と、IoTによる服薬記録・アラートの仕組みを一体化しているため、違和感なくユーザーの日常生活に溶け込みます。
「農村部や地下室、地理的に厳しい環境では、4G/LTEの電波がつながりにくいケースもありますが、LTE-Mボタンを利用したRxKeeperは動作することを確認しています。LTE-Mの通信は、弱い電波でも通信できる設計でつながるエリアが広いため、より幅広い患者層にリーチできるようになりました」(Kadaba氏)
今後の展開
全米、そしてその先の患者へ届けるために
RxKeeperチームは今後も、全米およびそれ以外の地域の患者のニーズにより良く応えるべく、デバイスの機能を進化させていく計画です。
スマートフォンやWi-Fiに依存しない、誰もが使えるシンプルな服薬管理ソリューションとして、医療アドヒアランスの向上に貢献し続けます。
目次
使用デバイス
DOWNLOAD
導入事例ダウンロード
さまざまな業界のSORACOMを利用した最新IoT事例集をダウンロード頂けます。
下記フォームを入力いただき、送信ボタンを押してください。
全て必須項目となります
個人情報の取り扱いについては、
お客様の個人情報に関するプライバシーポリシーをご確認ください。









